第一章・~由也の章~

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 時は文月、終わり頃。  朝、何時ものように目が覚めた。隣では可愛い寝息を立てて由也(ゆや)が眠っている。 「・・・・」  薄い茶色の長い前髪が寝返りで由也の顔にかかる。彼女は少し眉をひそめたが、まだ起きそうにない。其の様子に、私の顔には自然に笑みが浮かんだ。  窓の外を見ると、大雨の昨日とはうってかわっての晴天だった。梅雨の季節も、もう終わりを告げている。今日は久々の晴天だから、由也が起きて来たらきっと喜ぶだろう。 「もう少し、お休み」  流れるような髪を撫で、私は朝食の仕度をするベく床を離れた。
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