433人が本棚に入れています
本棚に追加
時は文月、終わり頃。
朝、何時ものように目が覚めた。隣では可愛い寝息を立てて由也(ゆや)が眠っている。
「・・・・」
薄い茶色の長い前髪が寝返りで由也の顔にかかる。彼女は少し眉をひそめたが、まだ起きそうにない。其の様子に、私の顔には自然に笑みが浮かんだ。
窓の外を見ると、大雨の昨日とはうってかわっての晴天だった。梅雨の季節も、もう終わりを告げている。今日は久々の晴天だから、由也が起きて来たらきっと喜ぶだろう。
「もう少し、お休み」
流れるような髪を撫で、私は朝食の仕度をするベく床を離れた。
最初のコメントを投稿しよう!