星野惟紗

4/12
前へ
/27ページ
次へ
そんな父の言葉を違う意味で理解したのは、小学校6年生くらいのときだった。 そして今 星野惟紗、15歳 高校1年生――――……… 『もっ…勘、弁…してくださ…いっ…』 『だったらサイフだしなって、最初から出してたらこんなことしなかったのに』 暗い路地裏。 人気のない道に体を丸めてうずくまるサラリーマンの頭に、足をのせて見下している少女。 染めた金髪で、ウェーブのかかった髪が胸の辺りまで伸びていて、夜風に靡いてはまた元の位置まで戻る。 その少女の後ろにはまた二人の少女がいて、サラリーマンに罵声を浴びさせていた。 『テメェみたいなのに体売るわけねぇだろ!気付けよバーカっ!』 『騙されてノコノコついてきてんじゃねぇっつの』 そう。 援交をもちかけるふりをして路地裏につれこんで、今に至るのだった。 サラリーマンはサイフを出して主犯格の少女に差し出した。 少女はそれを受け取り、札束を数える。 『結構持ってるんだー。15万だから…5万ずつでいい?』 『いいよ!』 ふたりのうちのひとりの少女が、キャハハと笑いながらそう言った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加