星野惟紗

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地下に続く階段を、一段一段おりていく。 そのさきにある扉にアタシは手をかける。 そこはとある小さなバーだった。 普通ならアタシの年齢じゃ入ることはできない。 でも普通じゃないからさ。 だってここには… 『おう。不良娘』 『やめてくんない?その呼び方』 『だって本当だろ』 アタシを不良娘とよんだのは、12歳ほど年上の人。 流(ナガレ) アタシが中1のときに出会った、今唯一嘘をつかないで素を見せられる存在。 流はアタシのお兄ちゃんみたいな存在だ。 友達って感じでもなければ、恋人ではない。 まさにお兄ちゃん。 その表現以外みつかならないくらい、アタシは流を慕っていた。 流はアタシのことを受け止めてくれる。 アタシがどんなに悪いことをしたって見離さないでいてくれる。 あたしの話しをただただ頷きながら聞いてくれる。 そうやって流がつくってくれる空気が、アタシにとってはたまらなく心地がよかった。
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