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さすがにお酒は飲まない。
『お待ちどーさん』
この店のメニューにはのっていない、流特製のノンアルコールのドリンクをだしてもらっている。
今日のはグラスの中のピンク色の液体が、綺麗なグラデーションを描いている。
それを飲もうと右手をグラスにかけたとき、流はアタシの右手をみて呆れた感じな笑みを浮かべながら、カウンターに頬杖をつき、アタシをガン見しながらこういってきた。
『また喧嘩でもしたんか?』
流はアタシの服の袖に血がついていることに気がついた。
『うん、臨時収入がはいった』
『おまえも好きだねぇ。なんかおごってよ』
『1万以内ならね』
ほら、こうやって流はアタシが何をしようと干渉しない。
怒ったりしない。
優しさなのか、ただ本当にどうでもいいだけなのかは知らないけど、アタシにはそれが心地よく思えてしかたがない。
文句ばかり言っておいていざとなると逃げ出す教師とか、そういった大人達がいちばん嫌いだった。
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