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村では本能寺の変の炎で染まる夜空で話は持ちっきりで
勇路探索にでていた人も何事かと思い村に戻ってきていた
禍々しくも人の目を離さない紅の飛雲達
その眼下に勇路が静かに森の中からでてきた
そのことに村人はおろか母でさえまだ気づいていない
勇路の体は鉄の札を手に取った
すると先ほどまで腕輪の形をしていたモノは
カードホルダーのような形に姿をかえた
おもむろに鉄の札をそのカードホルダーの中にいれる
その札の表には
【水】の文字
カチャッ
【ウオオォオオォ】
勇路ではない勇路は雄叫びをあげその体は青白く光った
「勇路!」
紅の飛雲を眺めていた母や村人たち
やっと勇路に気づいたが時すでに遅し
【ワレトオナジク、キサマラノトキヲ、トメテクレヨウゾ】
勇路の中の何かがそう告げると同時に村の【時】は止まった
村全体が溶ける事のない氷の塊と化したのだ
「お母…さ…ん みんな」
ホロリと流れる涙
勇路の意識はここで元に戻ったが
すべての生気を吸われたようにその場に気絶してしまった
「あちゃー なんだこりゃぁ」
そこに1人の男が偶然現れた
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