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それは小学五年生になって数ヵ月が過ぎた頃の出来事…
当時の休み時間の遊びといえば、専ら鬼ごっこであった。
昼休みはもちろん鬼ごっこ。授業と授業の間の十分休みも鬼ごっこ。放課後も鬼ごっこ。ひたすら鬼ごっこなのである。
しかも体力有り余る小学五年生。全力で教室や廊下を走り回るものだから、節操がない。
そんなある日…
二時間目の算数の授業が終わり、僕と友達のO君、T君、M君の四人でいつも通り鬼ごっこを始めた。
十分しか休みがないので、鬼に捕まった人も鬼になるという、鬼がどんどん増えていくルールでやっていたと思う。
M君の鬼でゲームが始まり、僕は五分程で捕まってしまった。
しかなたく二人で協力して、残る二人を捕まえる事に。
その二人がどこにいたかというと、男子トイレに立て篭っているのである。
O君が中で入り口の扉を抑え、T君は何故か個室に籠城していたらしい。
O君は力が結構あり、こっちが二人がかりで扉を開けて五分五分ぐらい。
この三人できゃあきゃあ奇声を上げながら攻防をしていたのだが、突然中から何かを壊したような音が響いた。
なんかこう…陶器の重い何かを割ったような大きく響く音。
顔を見合わせる僕とM君。
中からは
「やっべえ!」
という声。明らかに何かしでかした事に違いはない。
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