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流石にこの状況で鬼ごっこを続ける程間抜けではない。O君も扉を開けて中に入るよう僕達を促すが、明らかに顔が笑っていない。
状況がいまいち理解できないままトイレ内に入る僕とM君。
そしてO君に「一応」タッチするM君。このへんが小学五年生っぽい。
「僕はあの時しっかりタッチしたからね。だから君も鬼だかんね。」
というアピールである。
入り口の扉を閉めるとほぼ同時に、個室に立て篭っていたT君登場。
何があったのかを聞こうとしたが、言葉が先に出るより、目の前に広がっている光景に衝撃をうけた。
なんと便器が粉々になっていたのである。
正確には水を貯めておくタンクの上部のフタの部分が床に落下し、砕け散っていたのだ。
一瞬状況が理解出来なかったが、T君に話を聞くことにした。
「何したのこれ!?」
と言いながらさりげなくT君にもタッチする僕。
すると
「登ってたら落ちちゃって…」
「は?」
つまり個室から外の状況を確認するため、扉の上から顔を出そうとしてタンクに足をかけたところ、フタがずれて落下し壊れた。
という事らしい。
なるほど~と感心した刹那、これがとんでもなくマズい状況であることに気付く小学生四名。
いや、笑い事ではなくこの気まずい状況をリアルに想像してもらいたい。
どうしようどうしよう、とオタオタしていると始業のチャイムが。次の時間は体育館で芸術鑑賞である。
「と、とりあえず教室戻らなきゃ…」
誰が言い出した訳でもなく、教室へ。椅子を持って体育館へと移動する準備をした。
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