ためらい

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「陽菜、中に入って見ないか?」 コートの外からみんなの練習を見ていた私に、手塚くんが話かけた。 「…いいよ、邪魔だし」 「そんなことはない。みんな喜ぶだろう」 「それが嫌なんだけど…(特に菊丸の)」 「無理にとは言わんが…」 手塚くんは、私をテニス部に誘いに来たことがない。 他の3年は最低1回はきてる。 「陽菜、今度俺と打たないか?」 「え…?手塚くん…と?」 「ああ…一度試合してみたいものだ」 「……肩、もういいの?」 「…え…」 「完治したなら考えてもいいよ」 じゃあね、と私はその場から離れた。そろそろ家に帰る時間だ。 「手塚、陽菜となに話してたの?」 「ああ…不二…陽菜は、俺の肩のこと知ってるのか?」 「…え?知らないでしょ?」 「そのはず…なんだが…」 そういえば新入生がたくさんいたなぁ…とか、今日のテニス部の練習を振り返りながら私は家路についた。
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