ためらい

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「言いたくないならいいけどね…」 「………」 「僕は部活に行くよ、一緒に行く?」 「もう少し…ここにいる…」 「わかった。帰るときは声かけてね」 「うん…」 パタン… 部室で一人きりになった。 テニスなんてもうできないと思って、テニスを遠ざけてきた。 それがだんだん『できないテニス』は『やりたくない』って思うようになって、誘われても誘われても断ってた。 でもテニス部のみんなを好きになって、こうしてテニスに関わって生きている… 私はベンチの端にあったタオルに頭をのせて、天井を見上げた。 きっと… 私にあの過去がなければ… みんなとテニスしてた… ためらうことなく、飽きるほどテニスをする毎日だったはず… テニスが好きだから…
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