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PROLOGUE
彼は星。
夜空に散りばめられた宝石のように、キラキラと輝いている。一等星、二等星……輝きに違いはあれど、それでも彼は光を放つ。
「母さん、満天の夜空だ!なんだかビーズみたいだね」
彼は、無邪気に笑う。
彼女は太陽。
生命が生きる上での一番大切なもの。輝き続け、人々の道を照らし出すその光は神の光そのもので、寿命は刻一刻と近付いているものの、彼女は輝くことをやめない。
「お母様、お父様!こんな良い天気の日には、外に行きましょう!」
彼女は、無邪気に笑う。
彼は月。
自ら輝くことは出来ないものの、太陽の力を借りながら優しい光を放っている。太陽にも星にもない優しい光は、心を温めてくれる物静かな光。
「母様、今日は満月ですよ…父様も一緒に、お月見しませんか?」
彼は無邪気に笑う。
無邪気に笑う。
未来を覆う、闇を見据えながら。
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