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叫んだ理由は慎輔が額から血を流しているからだろう。
「やめなさい!松浦君。」
花音が松浦という男子を止めに入った。
慎輔は額から流れ落ちる血を見て考えた。
《今日って、本当についてねぇな。》
慎輔はユラユラと立ち上がると松浦を見た。
松浦は一瞬後ろに下がった。
「なんだよ。その目は。」
松浦は慎輔を指差して言った。
慎輔の瞳は血のような真っ赤な瞳をしていた。
『いや。別に?』
慎輔は首を傾けた。
「松浦君。席に着きなさい!」
花音の言葉で松浦は慎輔の瞳から逃れ、自分の席に着いた。
花音は慎輔に近付くと「大丈夫?」と聞いてきた。
『大丈夫です。』
慎輔は満面の笑みを浮かべた。
すると一組の男女が近付いて来た。
「あの~。よかったら、ハンカチ使ってください。」
女子の方がハンカチを慎輔に差し出した。
慎輔はハンカチを受け取ると額に当てた。
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