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いつの間にか、俺と早鳴は燃え盛る家の前にいた。
早鳴は大声で泣き叫び、それをおじいちゃんが抱き締めて必死に抑えようとしている。
俺の手には古ぼけた御札が一枚。通帳、カードが二枚ずつ。
どんどん燃え、炭となっていく家。
誰の家かは朧気だが、多分、俺、早鳴……お父さんとお母さんの四人で暮らしてた家の筈だ。
いつ来たのか、この燃える炭と化した家を見に来たであろう野次馬と、水を止めどなく放出させている消防車が三台来ていた。
辺りは夜にも関わらず騒々しい。
俺は嫌になって、おじいちゃんと抱き締められている早鳴に近付いていった。
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