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「あ、裏にも何か書いてるよ」 九月十五日……秋の中旬……。 「えっと、翁捕獲せし御霊等」 この季節には、何かが咲き始める筈だ。 「我が翁亡きし時、翁に替わりて」 この頃に咲くのは、彼岸花。彼岸花?彼岸花!? 「早鳴!言うの止め!」 「我、礎となりけりに憑きたもう」 言っちまった!? 「ん?どうしたのお兄ちゃん?」 「……あれ?何もない?」 「何もないって……何が?」 「いや、何もないならないでいいんだ」 本当に何もなくて良かった……俺に憑く筈の守護霊が、早鳴に憑いたのかと思いましたよ。 「ふう……やっと外に出られたな」 その、俺でも早鳴でもない声に驚き、「へ?」っと言う、俺と早鳴の声が重なった。
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