6580人が本棚に入れています
本棚に追加
/442ページ
「あ、裏にも何か書いてるよ」
九月十五日……秋の中旬……。
「えっと、翁捕獲せし御霊等」
この季節には、何かが咲き始める筈だ。
「我が翁亡きし時、翁に替わりて」
この頃に咲くのは、彼岸花。彼岸花?彼岸花!?
「早鳴!言うの止め!」
「我、礎となりけりに憑きたもう」
言っちまった!?
「ん?どうしたのお兄ちゃん?」
「……あれ?何もない?」
「何もないって……何が?」
「いや、何もないならないでいいんだ」
本当に何もなくて良かった……俺に憑く筈の守護霊が、早鳴に憑いたのかと思いましたよ。
「ふう……やっと外に出られたな」
その、俺でも早鳴でもない声に驚き、「へ?」っと言う、俺と早鳴の声が重なった。
最初のコメントを投稿しよう!