《桜色の風》

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《桜詩物語》 ひらりひらり 目前に降ゆる 春雨の華 両の腕捧げて 触れんとすれば やがては涸れ逝くその先々を 通り咲き老いては 燃えたる水面に 踊り逝く   波紋を模して 想く消えゆる凜のこと 冷えん五線の枝 遮ること叶わんまま 固く結びて己の深きへ   降ゆる五月雨に 去り逝く黄花 故に動けぬ哀し命 人片人片 若きしそなたの細き平の手 桜花の契り忘れゆくことなく 散りゆくことなかれと 我が眼に残りし 君咲き誇りたもう   涸れ細り過ぎぬ この五指もう掴むことならざんと震うとて 未だ応詩へ手を伸ばさぬ   変うることなく 咲き微笑み 瞳揺れし 散り逝く桜花に 君を魅いしその桜華 触れんと君の言霊を聴く   『  君咲き誇りたもうこと  我が桜詩咲き届けん  生変わりてなを  君想ひ続ける幸に  もう望むことない故  愛し君…  微笑み続けたもう…            』        後に静かに語り継がれん   桜花の詩      今宵を 遥か昔と謡われるとも…              桜の樹 白と黄色の花を咲かせる 白の花 黄色を抱くように二対の桜がひとつになる   幸せと笑顔に包まれる   誰も知らない物語でも 訪れる人誰もが想う     繋いだ手は離さないこと いつまでも守り続ける  かけがえのない人    大切な人       誰の胸にも聴こえる桜詩      君咲き誇りたもう      君想ひ続ける幸に  もう望むことない故  愛し君…  微笑み続けたもう…      image=335427550.jpg
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