《冬の結晶》

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《冬に咲く花》 通い慣れたこの道を いつものあの曲がり角を 僕はいつまで覚えていられるのかな 二人手をつないで歩いた公園に続く細道で 君は好きな花の名前を教えてくれた 白くて雨上がりに輝く花 この道も今は一人じゃ広すぎて 二人乗りの自転車が僕を追い抜いて 楽しそうな笑い声だけが 微かに残る 当たり前に笑えたことが 今こんなにもつらいなんて 息は白く 凍える手をポケットにいれて ぎゅっと握って 必死にあっためる 二人自転車で通ったこの道は少し狭くて 君は後ろでふざけたりしたね 歩く人気にして君は小さく ごめんなさい と呟いてた 二人で見ていたこの大きな木を 二人で願った小さな幸せを 今は冷たい右手をかばって ぎゅっと握って 見上げてる ただ ごめんね と呟いた君は やっぱり少し気をつかってか 泣きながら笑ったりしてみせた 長い間あっためてたと思った手にも 頬を伝わる雨が落ちる それは冷たくかじかんで ゆっくり指をひらいても… 冷え切った指輪だけが今 掌に二つ並んでる まるで君が好きだった花のように… image=38061902.jpg
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