Prologue

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   ――原罪。  それは人類が犯してしまった最初の罪。――神への背徳。  原始の人類であるアダムとイヴが犯してしまった罪。  その罪は今なお神に許されることはなく、  彼らの子孫である生きている人類すべてが罪を背負い有限を生き苦しむことによる贖罪。  それは今に生きる俺やお前らも背負っているという罪の形。  そして、その罪に重いも軽いもない、“人類”が生きている限り背負い続ける業なんだよ。  それは、たとえお前らが男でも女でも。  たとえお前らが子供でも老人でも。たとえお前らが優れていても劣っていても――その罪に対する罰に優劣なんてものがない、  絶対の公平なんだよ。  そして、罪からの解放にあまり意味が無くて、――解放があるとしたら、それは、『終わらせるための死』。  それだけ。  死ぬってことだけが罪から逃げられるってこと。  死んだ後にしか罪からの解放が無いなんてなんともつまらない話だろ?  ん?  けっきょく俺が何を言いたいのか良くわからないって?  あー、  別に難しくもない簡単な感情論みたいな話でさ。  まあ、つまり……神様ってのは悪趣味な奴だって話だよ。  だってさ。  たしかに人やたくさんの生物を創って今も信仰されてるすげー存在かもしれないよ。  でも、  その神様は創っただけで。  創った後はずーっと上か下かはたまた右か左かとにかく俺らの知らないところで見ているだけ。  誰かが笑っていても泣いていても。  誰かが生まれても死んでも。  誰かが神様ってやつを求めても求めなくても――。  神様は全部見ているだけ。  絶対に関係を持とうなんて考えない。  決して助けてあげようなんて思わない。  なんともまぁ、悪趣味なやつだね。  ――創って終わり。  って、  あぁ……。  でもそれは違ったな。  もともとはエデンの園を任せるくらいなんだから信用して興味もあったんだろう。  でも、どうしてここまで興味を無くしたのか……ってなるだろ?  その原因こそが、一つの裏切り、それが『原罪』って言われてるもの。  そんで、その原罪ってのはな、神様の一番最初の人類との約束で、裏切られた約束、 「エデンの園にあるどの果物も食べて良いが園の中央にある“林檎”だけは食べてはならない」ってもの。  そして、その神様への裏切りは――最初の二人が『林檎』を食べてしまった、ということ。  
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