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「お兄ちゃん、お誕生日おめでとう!」
焔は何を言われたのかわからなかったが、妹の言葉を頭の中で何回か繰り返したあと、カレンダーを見た…。
『5月 20日』
「あぁ!
そうか、今日で俺は16歳になったのか・・・」
美貴は呆れた顔をして
「やっぱり忘れてたのね・・・
私が言ってあげなきゃ忘れたまま過ごすところだったわ、きっと。
なんて兄想いの妹なのかしら・・・」
焔は苦笑いを浮かべ、軽く頭を掻きながら
「そんなことはないだろうけどさ・・・
そっかぁ、16歳か。実感わかないけど、とにかくありがとう、美貴。」
美貴は照れ笑いをしながら、キマリが悪そうに
「あ、当たり前だよ!
これも兄妹の勤めなんだよ、きっと。」
焔は、美貴が照れているのを勘違いし、さらにこんな兄を慕ってくれているのだと思い、優しい笑顔を美貴に向けて礼を言った。
「そっか…ありがとうな。」
その笑顔に美貴は、一瞬 頬を赤らめたように見えたが、一生懸命に首を振り
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