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焔が居間に戻ってくると、朝食の用意ができていた。
巌は焔を食卓に着くように促し、自分も座り朝食を食べ始めたのだが、真剣な顔でこう言った。
「焔よ。お前は今日から十六じゃ。
十六と言えば、昔はこの年で元服を行い、大人の仲間入りを果たしたのじゃ。
だから、これまで以上に思慮深く行動しなければならん!
わかっておるのか?」
焔は心の中で、(いつの時代の話だよ…)と思いながらも声には出さず、大きく頷いてみせた。
それを見た巌は、満足そうな顔をして、横から箱を取り出した。
箱の中には腕輪が入っており、それを焔に見せながら、
「焔よ、これはお前へのプレゼントじゃ。
我が新宮寺家は、代々男子の16歳という元服の年に、この腕輪を送るのがならわしじゃ。
はずしてはいかんからの!」
言い終わると、焔の左腕へ強引にはめようとした。
「わかったから!
無理矢理はめようとしないでよ!
あとではめるから!
それに今、朝飯食ってるんだよ!?」
そう言って、焔は腕輪を奪い、ポケットへとねじ込んだ。
朝食を食べ終えた頃に時計を見ると、8時を過ぎていることに気付いた。
「・・・!! うわっ! 遅刻しそうだ! じゃあ、じいちゃん、いってきます!」
片付けもそこそこに、玄関を出て行った。
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