第一章

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まだ日が高いうちに家に帰るなんて久しぶりだな、と俺は一つ伸びをした ポケットから携帯を取り出しとりあえずメール。こんな俺にも彼女がいます ピリリ、ピリリ ほどなくして、短い電子音が着信メールを知らせた 『明人?授業は?』 「サボり…と」 すぐに返事をすると俺よりもずっと早くメールが返ってくる 『じゃあ私もサボるから駅前で待ってて』 「いいよ…そっちは授業でて。終わるまで、駅で、ま…つ」 ぶつぶつと読みながらメール送信すると、数秒もしないうちに「わかった」という旨の返事。本当に女って生き物はメールを打つのが早い 彼女が来るまでおよそ2時間半。 駅でまったりと暇をつぶすには、丁度いい時間だろう 携帯を閉じてビルだらけの街をふらつく 時刻は午後2時。さすがに道にはほとんど人がいない そんな静寂の中を駅に向かって歩く。できるだけゆっくりと歩いた。なんとなくだけど… 「君と見たあの冬の星空はー儚くー輝きー思い出に消えたぁ」 ほとんど無音だった世界に誰かの声が聞こえた。歌声? ふと、声のする方を見ると自分と同じくらいか少し幼いくらいの男が歩道の端に腰掛けていた 声の主はどうやらこの人のようだ そのまま通り過ぎれば良かった そうすれば俺はきっと、このまま平穏無事に彼女とこの先も一緒に笑っていけただろうに…
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