入学式

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「ひろかとサキおはよう。」 教室に入ってすぐ、声をかけてくれたのは、トリプル佐藤の1人。 佐藤アカリ。 いつもより少しだけ、表情や声が暗いような気がした。 「おはよう。」 「…っ。」 アカリが何か言いたそうにしていたけど、自分の勝手で聞かなかったフリをする。 それにサキも気付いてないみたいだった。 ごめんアカリ、あたし今テンション高いんだ。 あたしたちはアカリの目の前を通って、自分の席に向かった。 「近いじゃん。」 近藤サキ…谷森ひろか。 班は違ったけど、隣の席だった。 横を向けば、サキが居る。 「最高だね。」 最高。 最高な中学校生活が始まるはずだった。 サキと2人で、楽しく話す姿を鬼のような目で見ていた人が居るとも知らずに。
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