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ほえー? なんて間の抜けた声を上げる小さい私を無視する様に。
男の子の、ビー玉の様にキラッキラした瞳は的確に私の目へと向けられていた。
「……遊ばないの?」
私が返事を返さない事をNOと解釈したのか、男の子の顔色がわかりやすく曇る。
やめとくれ。
そんな清らかな目で見つめられたら、心の濁った大人の私は溶けて無くなっちまうよ。
「後ろのお姉さんも……遊ばないの?」
そう言った後、男の子の体がわずかに強ばった。
どうやら。
私の驚きの顔は、幼い少年には刺激物に等しかったみたいだね。
すまんな、少年。
お姉さんは、君と遊んであげる事は出来ないんだよ。
返事をする代わりに、私は軽く首を振ってやる。
「ねえったらあ! あなたは誰とお話してるのー?」
……今の私は、さぞかし優しい顔をしているんだろうな。
ぶすっとふくれっ面を見せる小さい私に会釈してから、男の子にはニッコリスマイルを送ってやる。
あ、後ずさりしやがった。
そんなに私の笑顔はキショいか、少年。
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