ある天使の受難と初夏の夢の始まり

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猫に呼びつけにされた僕は離れにある部屋を出て縁側から家に入った 「緑ぃー……ベランダから入るのやめなさーい」 母親の声が台所聞こえ 僕は「あぁ」とも取れるあいまいな返事をした 「……朝飯は?」 台所にいるであろう姿が見えない母親に聞く 「緑あんた朝ご飯食べるの?どーしたのよ、めずらしいわね」 「猫が……無いならいいよ別に」 驚いた顔の母親が顔を出すと何故か笑っていた 「せっかくだし作るわよぉ、たまには母親らしい事しなきゃね」 久しぶりに食べる朝食は目玉焼きで半熟だ 僕はドロッとした卵は苦手なんだけど母親は逆に好きらしく いつも僕の意見は受け入れられない いい歳して我が強いと言うかワガママと言うか………あれ?台所にいるって事は……さっきのソーセージと牛乳……… 「ちょ…ちょっと……猫見なかった?……昨日黒猫が庭にいたんだけどさ」 「見てないわよ……黒猫?気持ち悪いわね」 どうやって持ってきたんだアイツ まぁ……やっぱりとても紹介は出来ないな 黒猫な上に喋るし偉そうだし、気持ち悪いどころでは済まない 僕は急いで食べて白猫のために皿に水を入れてコッソリ部屋に戻った ドアを開けると パックは尻尾をゆっくり動かしながらテレビを観ていた 「パック、勝手に部屋から出るなよ……母さんに見つかったら大変だろ」 白猫の前に皿を置きながら言うと 白猫は嬉しそうに飲み始めた 「あぁ……あの人間の女か……普通の人間の民間人に姿が見えるはずないだろう、まぁ見えてもこんな家に潜入などわけのない話だ」
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