ある天使の受難と初夏の夢の始まり

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「今の話が事の起こり……次は重力の井戸の説明だが……今までの話は理解したか?」 遠くで母さんが出掛けてくるからと大きい声を出しているのが聞こえた いつものことだが僕は曖昧な返事を返す 「能?‥‥天使が騙されてるかもしれなくて盗みに入って羽根をちぎられ井戸に落ちたんだよね?」 「十分だ」 まだ何か言いたそうだったけどパックは話を続けた 「本来、重力の井戸は神に反逆した者を投げ捨てる為の井戸だ……遥か昔、何万年も前の話だから詳しくはないが明けの暁星と言われる神に次ぐ力を持つ強大な天使が神に反乱した……余談だが一番彼の軍に廻った天使は能天使だったらしい……昔から騙されやすかったのだな」 また馬鹿にした笑い もしかしてコイツ性格悪いのか 「気の長いことに戦争は何千年も続いたが結局反乱軍は捕らえられ……裁判、大多数は重力の井戸に投げ捨てられた」 「何万年……何千年‥‥」 アホみたいに気が長い 「結果、井戸に落ちると天使どもに重力という負荷が付き大体は飛べなくなる……そして井戸の行き着く先の世界に幽閉されると言うわけだ、神の許しが出るまで何万年も……な」
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