闇に潜むは悪鬼なり

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~その夜…町外れの林道~ 御用提灯の灯りが見える。 四人の男達が林道を歩いて往く。 豆辺衛、笹川、矢島、そして笹川の下っ引きの男三郎であった。 先頭は提灯を持つ豆辺衛。 「矢島様自らご足労して頂くとは。」 提灯を持つ豆辺衛はそう言った。 「坂田…黙って歩け…」 矢島が言い放つ。 「あ…こりゃぁ申し訳御座いません。さぁ着きましたよ。あの寺です。」 豆辺衛は古寺を指さす。 「サブ行け!」 笹川が三郎へ命令する。 「へい!」 三郎は古寺へ一人で入って往く。 ガラリと戸を開ける三郎。 当たりは真っ暗。 「夜兵次の頭…夜兵次の頭…」 小声で夜兵次を呼ぶ三郎。 柱に人影が見える。 「へへ…いた…頭ぁ悪いがテメェを殺せば俺が今度は黒鬼の頭なんでね。」 短刀を抜き柱によたれ掛かる人影に近づく三郎。
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