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抱擁
ねぇ 貴方だけだったの
この世界が私を見捨てても抱きしめて、守って、私を受け入れてくれたのは
私はこの世界がとても痛くて悲しくて辛くて寂しくてどうしようもなくて
だからいつも片隅で膝を抱えてうずくまっていたの
この世界を拒絶して
私は平気だと思い込んで伸ばされた手すらもない世界で心を殺して生きてきた
それがどれほどの絶望だなんで思い出したくもない
そんな闇しかない世界で、唐突な光
それは、貴方の笑顔と声と息苦しいほどに優しく強い抱擁
初めてだった
この世界で私を分かろうとするヒトなんて居なかったから
手を差し伸べる「フリ」のヒトならたくさんいた
けれどそれが一時のことなのだと
そう、知ってしまったから
感情を消して、心を壊して、空想の世界に閉じこもってきたのに
貴方はそれをすべて壊して、私が作った境界線すら乗り越えて、私の中に入って来た
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