「いけず」

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  昼下がり、おれが所用から帰って来ると、おれの部屋で蛇骨がうたた寝をしていた。   しばらく寝顔を見ていたが、起きそうにもないので小袖を腹に引っ掛けてやった。 蛇骨の側にどっかり座り、足を投げ出す。 窓から吹き込む涼風に、薄くかいた汗がひいていくようだった。   (こいつが静かだとなんか時を持て余しちまうなぁ…)   土産のつもりだった串団子に目がいった。 蛇骨はまだ健やかな寝息を立てている。   (起きて待ってないおめぇが悪いんだぜ)   一本、手に取った。 そして、つい一本、あと一本…とつまむ内に、全部腹におさめてしまった。   「ひっでぇ大兄貴!!なんでおれが起きるまで待てなかったんだよ~~!!」   案の定、目を覚ました蛇骨は顔を真っ赤になじりだした。 おれは悪ぃ、悪ぃと言いながら、分かっててやっちまった理由を見つけた気がしていた。   こんな風に真っ赤になって涙目になってる蛇骨が見たかったってこと。   こいつ、こういう顔もやっぱり、ほんとすげぇ可愛いから。   また串団子買ってくることにしよう。   蛇骨は何笑ってんだ!!とまだ真っ赤っ赤だった。
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