発表会

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 いじめっ子は焦っていた。リオが魔術を使えた事に。  リオが魔術を使えた事に驚いているのは何もいじめっ子だけではない。二階席や舞台裏にいる人間にとっても、目の前の光景は今だに信じられない。痺れを切らした誰かが、リオの事を救出したのではないかとも考えている。  いじめっ子もとっさに、そんな発想に辿り着いた。目の前の光景を信じるよりも、今までのリオの状態を考えた方が合理的だったからだ。  リオは喋る事ができない。だったら魔術も使えない。  いじめっ子の中で不変の公式が繰り返される。この考えは彼女の中では絶対に覆されてはならない物であった。もし、この考えを覆されてしまったら、今までの行いのしっぺ返しがくる事になるからだ。  自業自得と言ってしまえばそれまでだが、そんな事を一切考える事はない。人間、殆どの場合は自分が一番可愛いのだ。そしていじめっ子も例に漏れず、自分が一番可愛かった。
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