8809人が本棚に入れています
本棚に追加
いじめっ子は慌てていた。それでも、考えを休める訳にはいかない。
他の魔術を使えば簡単に回避をする事もできた。だがそれは許されない。理由は簡単で、発表が始まる前に教師に使う魔術の種類を伝えた事が原因だ。
リオが水から脱出した瞬間から、二人の戦いは演技と思われている。他の魔術を使っても、それも演技の内だと理解されるだろう、当事者であるリオも何ら不思議には思わないだろう。
その中で、不信に思い始めるのが教師である。
知らされていない魔術が使われれば、それはいやでも目につく。それでも、発表が止められる事はない。不測の事態があった。そう思わせられるほど火は恐ろしい物である。発表は生徒のそれぞれの判断によって成り立っているので、危険を回避する為に魔術を使ったと判断され、お咎めはないだろう。
だが、それでは残ってしまうのである。知らせた魔術以外を使った事が成績表に。
別に成績表など他人が見る物でもないから気にするような物でもないように思えるが、そんな些細な事でも彼女は許せなかった。他の魔術を使った、すなわち、今まで馬鹿にしていた相手から逃げたと考えられたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!