2262人が本棚に入れています
本棚に追加
/673ページ
そう。
それはあの一瞬から。
「お兄様ッ…!
人間界の姫君と婚約する、というのは本当なんですか?!」
お父様とのお話が終わって……
兄弟揃って、
お茶を飲んでいる時だった…――
否定してもらいたくて聞いた言葉。
「あぁ。みたいだな。」
その問い掛けに、忌ま忌ましそうに呟くお兄様を見て少しだけ安堵したの。
「だが…直ぐに戻ってくる。早く落として連れて来て……
子供を産ませれば父上も満足するはずだ。」
と続けて言うお兄様に…
「あ~ぁ;コウ姉様、失恋だねっ☆」
と面白そうに言うアムに……
「そんな事よりも;
人間界なんかに行かれて…
食べ物が口に合わなかったりだとか;
ホームシックとかになったら…;」
と言う私。
この時の私は…
お兄様は、人間界の姫君に本気で惚れる訳がないッて思っていた。
――だって、お兄様は人間がお嫌いだから。
.
最初のコメントを投稿しよう!