叶わぬ恋路

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そう。 それはあの一瞬から。 「お兄様ッ…! 人間界の姫君と婚約する、というのは本当なんですか?!」 お父様とのお話が終わって…… 兄弟揃って、 お茶を飲んでいる時だった…―― 否定してもらいたくて聞いた言葉。 「あぁ。みたいだな。」 その問い掛けに、忌ま忌ましそうに呟くお兄様を見て少しだけ安堵したの。 「だが…直ぐに戻ってくる。早く落として連れて来て…… 子供を産ませれば父上も満足するはずだ。」 と続けて言うお兄様に… 「あ~ぁ;コウ姉様、失恋だねっ☆」 と面白そうに言うアムに…… 「そんな事よりも; 人間界なんかに行かれて… 食べ物が口に合わなかったりだとか; ホームシックとかになったら…;」 と言う私。 この時の私は… お兄様は、人間界の姫君に本気で惚れる訳がないッて思っていた。 ――だって、お兄様は人間がお嫌いだから。 .
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