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草木さえ眠りに付くほどの深夜、天頂の月さえも眠りに落ちその瞬きを消してくれればとタワラツは願った。
煌々と照らす月夜の中、騎馬の一団が駆け抜ける。
暗闇の中、松明も焚かずに一糸乱れぬ隊列は、まるで黒い風のようだ。
「タワラツ様、間もなくです!」
先頭を駆ける騎兵が、後ろの少女へ語りかける。
「生き残ったのは何人?」
「十名です……」
その僅か後方に、彼等を追う光があった。
松明を持った騎兵の一団、
その数、およそ二十騎位だろうか。
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