序章

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しかし、タワラツの体は地面に叩き付けられる事は無かった。 タワラツの後ろを走っていた男、ヤハアベが、馬から落ちるタワラツを受け止め、自分の馬に乗せたのである。 彼はタワラツにとって、兄の様な存在だった。 タワラツが生まれた時から常に傍にいて、彼女を見守り続けていた。 そして、その男は瞬時に判断する。 「タワラツ様、御武運を!」 タワラツに手綱を握らせると、ためらわずに馬から飛び降りた。 いくらタワラツが少女で軽いとしても、疲労した馬に二人駆(馬の二人乗り)ならばすぐに追っ手に追い付かれてしまうからだ。
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