序章

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追っ手の馬が、闇夜の中に不意に現れた岩に足を取られ転倒した。 折り重なるように縺れ、次々に落馬をしていく。 タワラツ達は追手を逃れるために、松明を焚かずに行進していた。 その為追手は、闇夜に突如現れた岩盤を、察知することが出来なかったのである。 見事追っ手の足止めをしてみせた男は、もう立ち上がる事も出来なかった。 「タワラツ……」 見上げる空には、満天の星が輝く。 タワラツと二人、何度この星空を見上げただろうか。 やがて男には、永遠に続く闇の戸張が降りた。
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