ガーボタクトー1186

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西暦2000年、最新の技術と莫大な資金を費やしてある飛行機が作られた。機名はガーボタクト1186。今や世界一の旅客機メーカーとうたわれるアメリカのガーボタクト社が生産したものでその大きさは前代未聞の全長9○○メートル、総重量5○○トン、最大乗人数8○○人、総工費2兆84○○億円というまさにすべてが究極のものであった。完成と同時に全世界に公開されたこの巨大な怪物は、たちまちマスコミや飛行機マニアたちの恰好の餌食となった。 経済的に裕福となった人々が急増しているこの時代にとってはガーボタクトは待ちに待った必需品だった。もちろん大半は移動手段のためなのだが、輸出入の物資運送の面でもガーボタクトは大活躍だった。たちまち大繁盛となったガーボタクトは毎日休むまもなく世界中を飛び回っていた。 そしてその夢の舞台の第一線で奔走している一人の客室乗務員がいた。彼女の名はキャサリン。主にファーストクラスを担当している彼女はこのガーボタクトに初飛行当初から乗り続けていた。まだ27歳にもかかわらず8ヶ国語を自由自在に操り、その仕事ぶりはすでにベテランの域を超えていた。その日も何事もなく一日が終わるはずだった。
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