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………。
多分10分以上たってる。本を片手に持ったまま男はぴくりともしない。
(……??借りるのか?つかおきてるのか?……にしても近くで見るとすごいな(笑)睫毛なが…ッテ俺キモッ!)
………。
俺はそいつに話しかけてみた。…べつに綺麗だから話しかけたわけじゃないケド(笑
「なぁ」
「……。」
(あ…シカトな。でもめげないぜ(笑)
「なぁ、おい?」
「…ぇっ!…ぼ、僕?…ですか?」
男はかなり驚いた様子だった。
「その本さ、さっきからもぅ10分くらい眺めてるケド借りんの?」
「ぇっ…あ…僕ぼぉっとしてて、借りないです、ど、どうぞっ!」
男は焦って俺に本を押し付けた。どうやら俺が横にいたコトに話し掛けられて初めて気付いたようだ。
「あ…さんきゅ」
俺がそう言うと男はおどおどしながら首をぶんぶん横に振った。
正面カラ見るともっと綺麗だ(照
ガーゼが当てられてるところ以外にも小さな傷がいくつかあった。すげぇ気になったケドとりあえず黙っとく。
「そ、それぢゃ僕…ぃ、行きますっ」
そう言うと足早に俺の前から立ち去ろうとした。
「…なぁ!」
男の肩がビクッと跳ねる。
なんとなく呼び止めてみたがそのあとが続かない。
男はまたおどおどしながら振り向いた。さっきまで逆光だった光が振り向いた男の顔を照らす。その瞬間俺の心臓が一瞬跳ねたのがわかった。綺麗な眼だった。綺麗な琥珀色だった。
男は少し俯き俺の言葉を待っている。焦った俺は意味の分からないコトを口走ってた。
「ぁ…えっとさ…この本明日返しにくるからお前もこいよ!んで次はお前が借りればぃい」
見ず知らずの男にいきなり明日も会おう的なコト言われてわかりましたとはどう考えてもならないだろ…アホか俺は。
男はまた驚いた顔をして俺を見てた。
「や…用事がなければでいいし…無理にとは言わねぇから…あは、はは…」
黙ったままの男にさらに焦り、俺は笑いながら言った…ケド顔がかなり引き攣ってるのが自分でわかった。
「…ぁ…ありがと」
ボソッと呟いた。微かに震えてた。
「おぅっ!」
俺は謎に安心して笑顔になった。次はうまく笑えた。すると男も少し微笑んだ。
………なんつーか……めちゃめちゃ可愛かった(照
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