63人が本棚に入れています
本棚に追加
「すぐる…」
そう呼ばれた瞬間一瞬にして現実に引き戻された。体の震えが止まらない。頭では走れ!と警告がでてる…でもどうしても体が動かなぃ。
「今日はずいぶん機嫌がいーんだなぁ。なんかいーことでもあったのか?」
唸るように引低い声。闇からすっと手が伸びてきて僕の肩にじとっとっと置かれた。ビクッと僕の体が跳ねる。
「ぉいぉい…そんなにびくびくすんなや」
ニヤッと嫌な笑みを浮かべながら僕の肩に腕を回す。
「お前さ…今日ソッコー帰ったろ…俺から逃げたつもりだったか?」
「ご、ごめん…僕帰らなきゃ…」肩に回された腕から逃れるように体をよじらせた。こんな抵抗で逃げられたら最初カラこんなことにはなってないんだけど。
「はぁ?冗談だろ?ちょっと付き合えよ」
男はハッと鼻で笑い歩き出した。もぅ逃げようなんて思わない。今を逃げ切れても明日も学校で、帰りに捕まる。僕は素直に従い、街灯のない暗い道をとぼとぼ歩き男についていった。
最初のコメントを投稿しよう!