63人が本棚に入れています
本棚に追加
それから沈黙のまま映画に集中してるふりをして背中に神経を集中させた。後にいる星野が気になってしかたなかった。
気付けば映画はクライマックスで、部屋も暗くなってテレビの光だけが俺らを照らしてた。
「なぁ…ちょい暗くない?」
2時間ぶりに振り向くと星野はソファーに横になり小さくなって眠っていた。
スースーと微かな寝息をたてて。
(……ぅっ///ヤバイ…かわい過ぎだろ…)
顔の前で手をひらひらさせてみたケド起きない。
顔にかかってた前髪をゆっくり撫であげてみた。
(髪やわけ~…)
ここでまた悪い俺と良い俺の対決が始まった。
…次は悪い俺が若干リード。
(…少しくらいなら…誰も見てねーし)
ゆっくり顔を近づける。
ドクンッドクンッ
「…っっ!!あぶねっ……普通にだめだろ」
どうやらまたまた良い俺が勝利したらしい。
「はぁ…アホか俺は…」
ベッドの上にあった白いタオルケットをかけてやった。そのあと鞄からノートの切れ端とペンを取り出し、メアドと手紙を書いて置いた。
部屋を出て階段を下りていくと星野ママがいた。
「あら?もう帰るの?」
「あ、はい。」
「あの子見送りもしないで!!」
星野ママが階段を上ろうとする。
「やっ!!なんか映画見てたら眠っちゃったんでそのまま出てきたんです。」
慌てて星野ママを止める。
「あらま…ごめんなさいね。あの子もぅずっとそうなのよ…夕方に眠っちゃって夜中にいなくなっちゃうの」
「…え」
「また遊びにきてやってね。次は晩御飯も食べてって」
「あっ、はい。ケーキとクッキーおいしかったです。ごちそうさまでした」
「いえいえ。気をつけてね」
「はい。お邪魔しました」
玄関で手を振る星野ママに軽く頭をさげてボロチャリに乗った。
「やっぱり…あの顔の傷…なんかあるのかな…」
最初のコメントを投稿しよう!