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†優Side†
目が覚めると部屋には誰もいなくて月明かりだけが僕を照らしてた。時計を見るともう10時。3時間も寝てしまっていたらしい。
まだ頭がボーっとしてる…。
「……?…あ゛!!空!!」
ようやく思い出した。
空と映画を見ている時に寝てしまったコトを。僕は急いで階段をかけ下り、リビングに向かった。
「母さん!!空は?!」
「あんたが寝てたから帰ったわよ」
「ぁ~もぅ!どうして起こしてくれなかったのさっ!」
「空君が寝かせといてやってっていうから」
「最悪だ…」
「夜遅くに出歩いてるからでしょう!」
「……はぁー」
「…また遊びに来るって言ってたわよ。」
「うん…」
とぼとぼ自分の部屋に戻る。
部屋の明かりをつけるとテーブルの上に紙切れを見つけた。
空が置いていった手紙。
『おはよ~☆これ俺のメアドだから暇あったらメールくれ~♪また遊びにくるかんなっ!』
汚い字だったケドすごく嬉しかった。今すぐメールしたかった。
…でも今日は金曜日だ。
そろそろあいつの着信音が鳴る…。
ピピピ…!!
ピピピ…!!
…やっぱり…。
「はい…?」
「今から走って5分以内に俺んちな。タバコ買ってこいよー」
プツッ…プーップーッ…
用件だけ告げると電話は切れた。僕は急いで家を飛び出した。
「ちょっ!!優!どこ行くのよ!優!」
呼び止める母さんの声を振り払って、もうスピードで走った。
どんなに早く走ったって5分以内なんて無理なのは知ってるケド。途中自販機でタバコを買い、また走った。
「はぁ…はぁっ…ケホッ…」
「おせぇよ…4分遅刻」
男はそういうと僕の頭を軽く叩いた。
「まぁ…入れよ」
「お邪魔します…」
男の名前は澤村健二(さわむらけんじ)僕と同じクラス。
学校では成績優秀な真面目な生徒。だけど放課後になると毎日のように僕をいたぶる。
週末になると必ず呼び出され、日曜の夜まで家に帰してもらえない。
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