掌

出会い

(ふぃ～…やっぱぃいなぁ…)

さっきまでべたついていた肌が乾いていく。検索結果の用紙を持って館内を歩き回る。

(この棚の奥な…)

本がぎっしり詰められた高い棚と棚の間をのぞくと一人の男がぼぉっと一冊の本を手に取り眺めていた。多分同い年か…下くらぃ…？図書館で他校の生徒と出くわすｺﾄなんてごく当たり前のｺﾄだけど…なぜか俺はその男ｶﾗ目が話せなくなってた。
窓ｶﾗの陽射しで柔らかそうで赤い髪がさらに赤く光る。くせ毛なのかﾊﾟｰﾏなのかよくわからないｹﾄﾞ。肌は妙に白くて頬と目の上に大きなｶｰｾﾞ…。このくそ暑い日にﾍﾞｽﾄのﾆｯﾄを着ている。灰色のズボンってｺﾄはM高だな。

(…女みてぇな顔だな)

なんてｺﾄを思いながら本来の目的を思い出した…が男の手元に注目してみると俺が探してた本を持っている。

(ぅわぁ…よりによってその本かよ…)

他の本を探すふりをしてそいつの隣に行ってみた。