「それこそが」

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  今日届く筈の荷物がなかなか届かない。   睡骨はじりじりしていた。 通販で発注した商品の到着をずっと心待ちにしていたのだ。   だが…   やがて夕刻を過ぎ、日も暮れ、とうとう夕食の時間となった。 それでもインターホンは鳴らなかった。 睡骨はいつ鳴るかと、気もそぞろで箸が動かない。 「睡骨、具合でも悪いのか」 煉骨が眉間に僅かに不審を漂わせ、訊いた。 「いや…何ともねぇ」 「そうか。ならいいが」 睡骨の食卓での会話はそれきりだった。 煉骨はちらっと蛮骨を見やった。が、今のやり取りを気にかける風もなく、食事をしている。   食事が済み、それぞれが部屋に引き取るなど、寛いでいる時。 蛮骨が煉骨に低く告げた。 「暫く注意しとけよ」と。 また情緒が不安定なのかもしれねぇ、と。 煉骨は黙って頷いた。   風呂が済んでもなお、インターホンは鳴らなかった。 睡骨は膝を抱え思った。   交通事情だ。そうに違いない。 きっと明日は届くだろう。   「ねぇっ大兄貴っ触って~😃すべすべだろ~😁」 「おっほんとだ。すべすべだなぁ😃」   睡骨の視線の先で、このローションすご~い!💕とはしゃぐ蛇骨の手に握られているもの。 正しく睡骨が肌荒れ対策に発注し待ち焦がれていた、 それであった。
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