嫌い

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  「人生なんて、いつか終わりがくるって思うと、虚しいもんよね」  友人の有紀は、唐突にそんな事を言った。  悟りでも開いたのだろうか。テンションの下がる事この上ない。 「璃佳もそう思わない?」  同意を求められても、と思う。  終わりがあるからこそ、何かをしなくちゃという気持ちが生まれるのも事実だし。  でも、いきなり現実を突きつけられると、思わず溜め息なんかついてしまいそうになる。  だからって“死にたい”なんて、これっぽっちも思わないのだけれど。 「例えばね。この世が突然真っ暗な闇に包まれるとしたら、璃佳ならどうする?」  だから唐突だって。 どうもしない、わけはないけれども……。 「暗闇ってさ、先に目を瞑ってたら、目が馴れて突然暗くなっても物が見えるのよね。だから私は誰より先に目を瞑ろうと思うの!」 「あ、そう」  そういう問題か?いつなるかも分からないのに、と思ったりもしたけれど、私はちょっとだけ心の中で笑ってしまった。  世界が闇に包まれても、心は闇に染まらないように。  そんな事を、願う。  
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