プロローグ

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プロローグ

「先ず聞きたい。 何故にセラーの在庫がこれだけしかない?」 ワインセラーの在庫の少なさに対して純が問うた。 理由は単純明快なのだが、純に呼ばれた水月はその問いに答える。 「単純に、飲むから減るんだと思うよ。 飲んで増えるなら誰だって飲むし」 独特な雰囲気を持った部屋だ。 ここだけ何か幽霊でも出そうな湿度と気温をしている。 何でも、ワインを保存するのに最適な条件に設定してあるとか。 「飲むから減る。 それは誰にだって解る。 問題は、誰がこの問題に1番に関わっているのか、という部分だ」 「多分、出題者が1番の原因じゃないかな? 私はお酒なんて飲まないし。 雪花ちゃんは飲めるみたいだけどあんまり飲まないし」 水月はそれだけ言って、純のこの議題に見切りをつけたようにセラーを後にした。 純は1人残され考える。 やはりそろそろ補充しないとまずいな。 食前酒に必要だし、料理にも使う。 はたまた趣味の片手にも――これはブランデーか。 などと考え、純も部屋を出た。 「水月、ちょっと家空けるから。 フランスまでワイン買いに」 思い付いたように水月を追いかけ純は言った。
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