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水月は驚く素振りも見せずにこう言った。
「そうなの。
行ってらっしゃい」
純がこういう唐突な行動に出ても水月は表情を崩さない。
もう慣れっこになってしまっているから。
言っても聞かないし、遠くに買い出しに出かけるくらいだと思えば――。
「じゃあとりあえず、今からチケット取って行くから。
水月も行く?」
純は観光目的で行く訳ではないから何も準備をしない。
私服のままだ。
それでも剣と銃はきちんと持って行く。
「私は今、行ってらっしゃいと言ったよ。
だから、留守番してるよ」
純はそうか、と言い水月に背中を向けた。
そして歩き出す。
歩きながら財布を取り出す。
カードは、入ってるな。
「よし」
携帯を取り出した。
アドレス帳を開き、○○空港という欄に合わせ、そこの番号に電話をかけた。
……――
数回のコール。
「はい、こちら○○空港でございます――」
歩きながら話す。
玄関近くまで来た。
「三木忠光はいらっしゃいますでしょうか?
神村純から、と伝えて頂ければ解る筈なんですが」
少々お待ち下さい、と言われたので純は通話状態のままの携帯を耳から話した。
鍵置き場から愛車のキーを取る。
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