ネバー・ウィン

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ネバー・ウィン

「取った!」 「はっ、遅え遅え」 水月の刀での攻撃を口で白刃取りしてブラットフォートが言う。 さっきから、何度も何度も本気で打ち込んでいるのに、丸腰のブラットフォートにただの一発も入らない。 そして、水月の攻撃を回避や白刃取りで流しながら、何度も指で触れてくる。 つまりは、ブラットフォートに指で触れられた回数だけ、水月は実戦なら攻撃を入れられた事を意味する。 力の差が有り過ぎる。 ブラットフォートとの距離が遠過ぎる。 距離的な距離ではなく、強さの距離が。 「どうした? 俺様の5%でこれか? こんなんじゃ、葉月に追い付くのは一生かかっても無理だな。 先ずは、基本的な所から色々修正してやらなきゃ、か。 一旦休憩にしようか」 ブラットフォートが指で水月の喉を突いた。 呼吸が乱れ、水月が玄霧を落とす。 「――ッホ、エホ」 咳き込んだ。 「ああ楽しい。 手加減して左手だけで相手するってのは」 ミネラル・ウォーター入りのペットボトルを手に、ブラットフォートは高らかに言った。 水月からしてみれば嫌味にしか感じられないが、それが事実なのだから仕方ない。 「嫌味ですか?」 「ああ。 最近の奴等はレベルが低いねえ」
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