発病

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「俺…あと三ヶ月なんだって。 ははっ。お前より先に逝っちゃうケドさ 俺が逝っちまったら俺の事なんか忘れて早…」 言葉を遮るようにアオイは俺を強く抱きしめた。 アオイの温もりが優しいが痛いほど伝わってきた。 「泣かないで大丈夫だよ。」 アオイの手は優しく俺の髪を撫でた。 「大丈夫…ユタカは死なないよ…」 いつもの大好きな笑顔なのに… いつもの大好きな声なのに… いつもの大好きな君なのに… 「俺は死ぬんだよ…」 自分でも驚くくらい小さく低い声で呟いた。 「だから…ユタカは…」 ドサッ 気付いたら俺はベットにアオイを押し倒していた。 「ユタカ…?」 押し倒されたのに全く怯える事なく純粋で真っ直ぐな瞳で俺を見てくる。 見るな… そんな瞳で俺を見るな! 「死ぬんだよ!俺は後三ヶ月で死ぬ!何が大丈夫だ!お前に…お前に何がわかんだよ!」 「ゆ…ユタカっ…く…くる…しい…」 俺の手はアオイの首を絞めていた。 ゆっくり…ゆっくり力が入っていく。 「なぁアオイ…お前 俺と一緒に死んでくれよ…俺の事 愛してるんだろ…?」 手の力はどんどん強くなり 俺の目からは無数の涙が零れ落ちていた。 アオイは一切 抵抗する事なく必死に笑顔を作っていた。
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