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突入
エンジン音を全く立てずに走行するバイクがあった。
タキオン・ドライブが無尽蔵に作り出すタキオン粒子、それをエネルギーとして走るバイクだ。
世界を探してもまたとない逸品。
オーバー・テクノロジー(行き過ぎた化学)で出来たそれは、世界に2つとないのだ。
南米のとあるビルで、神村純が滷穫した機体。
最高時速は480km。
あまりの速度域。
人間ならば、瞬間加速時に生じる12Gもの衝撃で、そのまま絶命してしまう。
もし仮に、ゆっくりした加速で速度を乗せていったとしても、カーブに差し掛かり、ハンドルを捻ればそのまま慣性で体を持って行かれてしまうだろう。
だが、純はそれの手綱をしっかりと握り離さない。
純も、マシンより1歩先の反応速度を保ち続けていなければ、死ぬ。
だが、そんな中でまだこのマシンの化物スペックに満足出来ないでいた。
まだまだこのマシンのスペックは上げる事が出来る、そう思えてならない。
『まだ、この上の性能を求めやがるか。
強欲だねえ。
上げるのは別に構わねえが。
乗り手のお前が操れなきゃ、虎の子の1機がパァだぜ』
「解っているさ。
だが――」
相変わらず正面からの風が凄い。
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