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普通ならば目も開けていられないだろう。
だけどそこが、常人と神村純との違いだ。
『だが、何だ?』
純は息を呑み、そして言った。
「だが、僕は上を目指さなきゃならない。
このままじゃ、ナイトメアには辿り着けないから。
いつか敵対する、その時までに。
だから、少しでも上の力を目指す。
例えそれが禁忌でも、人の領域を遥かに超えた力だとしても」
純は時速200kmを出しながら道を走っていた。
右へ左へ。
進行方向上にある他の車やバイクは、全てかわした。
次いでに言うと、スピード違反で追いかけて来た警察のパトカーすら撒いた。
最早現代既存のマシンではこいつに追い付く事は出来ない。
まあ人体への負担を無視した改造を施したマシンならば、まだ追い付く事も可能だろうが。
まだなのかな、と数日振りの会合を楽しみにしている人間がいた。
フェイクが指定してきた港、そこに一足先に着ていた。
秋篠水月。
剣術の腕だけならば純を凌駕している人間。
指定場所はここ――で合っている筈なのだが……。
「何で誰もいないんだろ?」
本当に誰もいない。
それこそ気配すらない。
いったい何故に?
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