プロローグ

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プロローグ

朔夜から軍艦島の場所を聞いたのは既に昨日の事となっていた。 夜も明け、陽が昇っている。 フェイクの嫌いな太陽だ。 一応昨晩は最寄りの一軒家に泊まった。 フェイクが自分や部下の為に幾つか買い取っておいた安物の物件。 知らない人間から見ればただの小屋だが、知っている者にとっては中々の休息所となる。 食料、寝具は勿論あるし、武器もある。 国家権力に追跡されると、近くの店に寄って弾薬の補充などが困難になる時があるのだ。 そういう時はこういった場所に行き、ほとぼりが冷めるまでは立て籠る。 フェイク自身もまさか、自分が使う事になるとは思ってもみなかったが。 玄関を上がるとキッチン。 右手に洗面所とトイレ。 それにバスルーム。 真っ直ぐ進めば寝具と武器庫を兼ねた部屋。 必要最小限の設備だけを整えた物件である。 フェイクは一睡もしていない。 いや、逆に眠るという行為は時間の無駄だとさえ思っている。 ダ・ヴィンチは、時間がもったいないと言い、眠らなかったそうだ。 フェイクもこの考えに賛同している。 昨晩、ひたすら準備に明け暮れていた。 銃や剣の整備、ひたすらに魔力の補給。
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