1.異世界での再会

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  10年近く前の誕生日の日、ヒデさんは私をデートに誘ってくれた。 どんな素敵なお店に連れて行ってくれるのか楽しみで仕方なくて、私はめいいっぱいお洒落をして行った。 そうしたら彼は山登りスタイルで待ち合わせ場所に来た。 しかも、平を連れて。 ―平はヒデさんと前の妻との間の子供で、私はそれを承知で当時彼と付き合っていた― 平とは以前から面識があった。 私を見つけると嬉しそうに手を振ってくれた。 履き慣れないヒールの靴で来たもんだから、私はすぐへばってしまった。 そもそもこんな靴で山登りができる筈もない。 ほとんど低斜面な道のりだとしても。 『山を登るって言ってくれればよかったのに…』 愚痴を言っても仕方ないので、私は口には出さなかった。 ヒデさんはそんな私を見て、「仕方ないなぁ」と言い、おぶってくれた。 ヒデさんの背中は大きくて温かくて、何だか気持ちよかった。 「ほら、着いたよ」 爽やかな風が抜ける山の中腹。 イートインスペースも設けられた休憩所で、ヒデさんは私を降ろした。  
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