1.異世界での再会

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  「……わぁ、綺麗!!」 視界に飛び込んできたのは、たくさんの桜の花だった。 中腹からは町一体を見下ろせる。 その町を覆い尽くすかのように、たくさんの桜が咲き誇っていた。 私は山が張り出し、崖のようになっている部分へと駆け寄った。 胸近くまである柵に寄りかかる。 山の斜面を越えた向こうはずっと桜でいっぱいだ。 丁度山と平行線な形で川が眺められる。 その川沿いに、これでもかこれでもか、と桜が植えられているのだ。 強い風が吹く。煽られて、花弁が宙を舞った。 その様にまた目を奪われる。 こんな穴場スポットがあったなんて。 私の不機嫌は、あっという間に吹き飛んでしまった。 「河津桜だよ。いつだかに言ってただろ? 俺が桜と一緒に誕生日迎えられて羨ましい、って」 ヒデさんは、丁度ソメイヨシノが満開を迎える、4月生まれだ。 私は桜の花が好きだから、ヒデさんの桜と一緒の誕生日が何だか羨ましくって、そう漏らしたのだ。 「河津桜はソメイヨシノより開花が早いからな」 「知らなかった…」 ととと、と平が私の横に走ってくる。 町を見下ろし、それから目を輝かせて私を見上げた。 「綺麗だね!」 「うん、綺麗だね」 私は平ににっこりと笑いかけた。  
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