1.異世界での再会

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  ◆ 私は目を覚ました。 頬が何だか生ぬるい。触れるとそれは水―涙だった。 背中にあたる感触が固く冷たい。床で寝ていたみたいだ。 私は身を起こした。薄暗い部屋にいるようで、視界がさえない。 目の前には幾本ものローソクが立っている。 「――目が覚めたか?」 その声に振り返ると、至近距離に巨大な人物が立っていた。 縦にも横にも大きい男性だ。頭には黒い布を巻きつけている。 まるでミイラみたいだ。どんな顔をしているのかが全く分からない。 そこでやっと私の意識がはっきりし、同時に記憶が蘇ってきた。 そうだ、私は桜を見て―― 確か私は自宅の前にいた筈だ。 なのに、なんでこんな知らない場所にいるの? さっきの桜は一体なんだったの? この目の前の男は誰?何で布を巻いているの? 頭に様々な疑問が、まるで気泡のように浮かんでは消える。 人知を超えた出来事に、私の脳は追いつけなかった。 今鉢合わせしている現状全てが、不気味で、気持ち悪い。 「い、一体誰なのあなたは!?ここはどこ!?」 私の発した声は震えていた。怖い。 後ずさりしたかったのだが、腰がぬけているようで身動きがとれなかった。   私の言葉を受けて、その巨大な男は悲しい顔をした――ような気がした。 実際は包帯のせいで全く表情が読み取れなかったのだけれど。  
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